万能のように思える能力を持つ者に、カーク(達)がふり回され尽くし、結局自分(達)では解決出来ず、問題の人物を上回る能力を持つ「保護者」の登場で幕引き・・事態解決に至るというプロットが、「ゴトス星の怪人」と同じではありましたが、味わいはかなり違う・・。
船が難破し、4歳でただ独り、とり残されたピーター(原語ではチャーリー) セイサス星人によって、彼を生かす為に良かれと授けられた超能力。しかしセイサス星人は、人間らしい振る舞い・・人間の「社会」で生きていくためのものを、ピーターに教えることは出来なかった・・。
人恋しさゆえにか星を抜け出したピーターは、船という人間社会に初めて出会ったけれど当然、うまくやっていけず、厄介払いされる形で移ったエンタープライズで、カークという父性を見出せる人物、そしてジェニーという美しい女性に出会う・・。
好きになり、好かれたいと願う・・しかし、我慢や他者に払うべき敬意を知らない彼は、能力を使って独善的に振る舞い、孤立を深め、さらに暴走していく・・。
ジェニーすらも、自らの「愛」に応えなかったがために消してしまい、エンタープライズのコントロールも奪うものの、それは彼の能力の最大限であったことをカークに見抜かれ、とっくみあいになったところでセイサス星人が登場。
セイサス星人は、ピーターが最初にのった船を破壊したという事件に心を痛め、彼を星に連れ帰るという。そこでの生活は無味乾燥なものらしく、一度、本来あるべき人間社会・・優しいカークや、美しいジェニーのいる世界を知ったピーターは戻りたくない!助けてくれ!と絶叫。つい先ほどまで彼のせいで全滅の危機に直面していたカークも、さすがに哀れを覚えてセイサス星人に彼は我々の仲間だ・・と申し出るが、彼に能力を与えたのは我々だというセイサス星人は、責任をとるために彼を連れ帰る・・。
一度「消された」・・下手をしたら彼に殺されていたかもしれないのに、それでもピーターのために涙を流すジェニー。そして泣きこそしないものの、同様に心を痛めているカーク(達) ラストの重苦しい、沈痛な雰囲気のブリッジ。哀感がありましたねぇ。
手のつけられない悪童ではありましたが、それは彼が、「人間」に育てて貰えなかった、そしてセイサス星人から超能力を授かってしまったから。全ては成長過程と余計な能力のせいな訳で・・。
しかしかといって、彼はもう、人間社会に適応して、生きていくことはできない・・。セイサス星人が、「生かす」為に与えた能力が、結果的に彼を(人間社会で)「生かさなかった」悲劇・・。勿論、4歳で餓死・・というのも、それはそれで酷い末路ではあったでしょうが、なまじ人の社会の有り様・・とりわけ、「恋」を知ったうえで、それをもう二度と望めない世界に連れ戻され、一生を終えるしかない・・というのもまた、酷い・・。
ジェニーはピーターに愛を告白されて、「愛が何なのかも知らないくせに」とか言いますが、(勿論、彼女の指摘は正しいとはいえ)これが一番、ピーターにとって残酷な言葉であったかも・・。愛がどんなものであるか、彼には知る機会も、教えてくれる人も無かったのですから・・。
ピーターの境遇・・その運命の哀れさゆえに、ひどい目に遭わされたジェニーも泣いた・・彼でなくても誰であっても、同じ境遇に育てば、同じようになったであろう・・。そして、普通に人間の保護者に育てられてさえいれば、彼も普通の少年として青春を謳歌したであろうに・・。
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