原題はVULCAN!(そのまんま)
イオン嵐の影響で、中立宙域内のとある恒星系がロムラン宙域に移動してしまうことが判明。その恒星系の惑星アクラネには非ヒューマノイド形の生命体の存在が確認されていた。彼らがもし、知的生命体であるなら、惑星をロムランに領有させる訳にはいかないと、連邦はエンタープライズに宇宙生物学のエキスパート・トレメイン博士を乗艦させた上での、アクラニアンが知的生命体であるかどうかの調査を命ずる。学者としての彼女を高く評価していたマッコイとスポックの両名はこの命令を喜び、あい争うかのようにして彼女のためのよりよい環境造りに励むが、転送乗艦してきた彼女(お約束どおり、大変な美女)はなんと、大のヴァルカン人嫌いだった・・!
連邦の中にも、アクラニアンに知性があるかどうかは疑わしいし、たとえあったとしても、必ずしも連邦に属する必要はない・・ロムランでも、彼らはそれなりにやっていけるはず・・という意見もあったりで、なるほど・・と思った・・銀英伝でもそうですが、主人公達が属する側が必ずしも全ての面で正しいとは限らない・・「向こう(銀河帝国/ロムラン)の体制は絶対駄目!こちら側(同盟/連邦)に属した方が幸せ」なんていう考えは、おこがましい・・。お互いそれなりの問題を抱えつつ、市井の人々はそれなりに暮らしている訳で。
有能な科学者で、大のヴァルカン人嫌い・・その偏見部分を除けば人間としてはまとも、そしてなにより、女性として魅力的・・そんな「爆弾」が乗艦してきてさぁどうなるかエンタープライズ・・という訳で、メインはトレメイン博士の物語。それなりに面白いんですが、トレメインに深く関わるマッコイとスポックはともかく、カークの影が薄いのは否めない・・。作戦展開中に、部下の命と連邦の命令の板ばさみで苦しむ姿や、最後のロムランへの通信の弾けっぷりとかはいいんですが。
以下、ネタバレ感想につき、ご注意。
マッコイがトレメインにめろめろぞっこんになってしまう・・テレビ本編ではカークの影に隠れてあまりロマンスが描かれなかった彼ですが、結構小説では惚れっぽく、かつそれなりにモテるんですよね。確かにカーク、スポックとはまだ違う路線でマッコイもいい男(というか「いい人」。まれにみるチャーミングな人ですよね・・)な訳ですから、モテて当たり前なんですけど、3人組の中でやはり一番「父性」を投影し易い人でもあるので、なんというか、ファザコン娘が後妻に父をとられたような気持ち(?)というか・・。うまいこといえないんですけど、なんか複雑な気持ちになるんですよね・・。「男(異性)」である以上に、「父」であることを求めてしまう・・というか。
それにしてもトレメインのヴァルカン嫌いは「かわいさあまって憎さ百倍」・・結局愛情の裏返しだった訳ですが、地球人女性がヴァルカン人に愛を求めてはいけないとしたら、じゃあサレックとアマンダの関係って何なんだよ・・という感じが(あれはやはり、サレックの方からの求愛が大前提ということなんでしょうか・・?)
あと、お話的には必然とはいえ、トレメインとスポックを2人っきりにするお膳立てのためだけに、彼ら以外の上陸班が全滅するってのがなんだか、感じ悪い・・。だいたい、トレメインの要求で上陸班の人数を増やしたことで結果、犠牲者数増えたんですから、彼女はこのことにもうちょっと真剣に自責の念を感じて頂きたいというか。
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